我が家がカメムシの猛攻に初めて晒されたのは、越してきた年の秋でした。家の周りには自然が豊かで、のどかな環境を気に入っていたのですが、それが裏目に出ました。ある晴れた日、気持ちよく乾いた洗濯物を取り込もうとベランダに出た私は、言葉を失いました。干していた白いシーツ一面に、びっしりと緑色のカメムシが張り付いていたのです。その数、数十匹。まるで現代アートのようでしたが、感動はなく、ただただ恐怖でした。これが、私とカメムシとの長い戦いの幕開けでした。最初のうちは、見つけるたびにティッシュで一匹ずつ捕まえてはトイレに流すという地道な作業を繰り返していましたが、きりがありません。取り込む際に数匹見逃し、部屋の中で「あの匂い」に遭遇することも一度や二度ではありませんでした。何とかしなければと、私は対策に乗り出しました。まず試したのは、ハッカ油スプレーです。カメムシはミントの香りが嫌いだと聞き、水にハッカ油を混ぜたものを毎日洗濯物の周りに噴霧しました。確かに以前よりは数が減ったように感じましたが、それでも何匹かは平気な顔で止まっています。完全な勝利には至りませんでした。次に投入したのが、物干し竿ごと覆うタイプの「虫除けネット」です。これが、我が家にとっては決定打となりました。設置は少し手間でしたが、一度覆ってしまえば、物理的にカメムシが洗濯物に到達することはできません。ネットの外側にカメムシが張り付いていることはありましたが、洗濯物本体は完全に守られているという安心感は何物にも代えがたいものでした。さらに、洗濯物を取り込む際には、ネットを外す前に、ネット自体を軽く揺らして虫を払い落とすという一手間を加えることで、室内への侵入も防げるようになりました。今では、秋口になると早めに虫除けネットを設置するのが我が家の恒例行事です。あの絶望的な光景を二度と見なくて済むようになったのは、このネットのおかげです。カメムシに悩む全ての人に、私はこの物理的防衛策を心からお勧めしたいと思います。
私の洗濯物カメムシ防衛記!試行錯誤の全記録