あなたの家で発見されたゴキブリの糞は、単に不快なだけでなく、その家の「ゴキブリ汚染レベル」がどの段階にあるのかを教えてくれる、非常に重要な診断ツールとなり得ます。糞の「種類」「場所」「量」を冷静に分析することで、今すぐ自力で対策すべきか、それとももはや手遅れで、専門家の助けを求めるべきかを、客観的に判断することができるのです。レベル1:「初期侵入段階」。この段階では、主に大型のクロゴキブリの、コロコロとした黒い糞が、玄関や窓際、ベランダといった、屋外との境界線に近い場所で、単発的に、あるいは数個だけ発見されます。これは、屋外に生息するゴキブリが、餌を探して偶然迷い込んできた可能性が高いことを示しています。この段階であれば、まだ家の中に巣は作られていません。侵入経路を特定し、徹底的に封鎖すると同時に、ベイト剤(毒餌)を設置するなどの基本的な対策を講じることで、被害の定着を防ぐことが可能です。レベル2:「繁殖定着段階」。この段階になると、クロゴキブリの糞が、キッチンや洗面所といった水回りの内部、あるいは冷蔵庫の裏など、家の奥まった場所で、複数箇所にわたって発見されるようになります。これは、クロゴキブリが家の内部を安全な場所と認識し、頻繁に行き来している証拠です。すでに、どこかに巣を作り始めている可能性も否定できません。自力での対策も可能ですが、かなり徹底した清掃と、戦略的なベイト剤の配置が求められます。そして、最も危険なのが、レベル3:「重度汚染段階」です。この段階の主役は、小型のチャバネゴキブリです。彼らの、コーヒーの粉のような、点々としたシミ状の糞が、キッチンの食器棚の隅や、コンロの周り、電子レンジの下、あるいは家電製品の裏側など、暖かくて暗い場所の至る所で見られるようになります。チャバネゴキブリは屋内専門のゴキブリであり、その糞の発見は、家の中で確実に繁殖が繰り返されている動かぬ証拠です。このレベルに達している場合、見えない場所には、あなたの想像をはるかに超える数のゴキブリと、無数の卵鞘が潜んでいます。もはや、市販の殺虫剤で根絶するのは、ほぼ不可能です。事態がさらに悪化し、健康被害が出る前に、迷わずプロの害虫駆除業者に相談することを、強く推奨します。あなたの家のゴキブリの糞は、どのレベルにありましたか。