五月の爽やかな季節、窓を開けて換気をしていると網戸の隙間やすり抜けてリビングに迷い込んでくる一ミリメートルから三ミリメートル程度の黒くて丸っこい虫がいますがこれをゴキブリの子供だと勘違いして家中を殺虫剤まみれにしてしまう人がいますが多くの場合その正体は屋外から飛来したシバンムシやタマキノコムシ、あるいは小さなカメムシの仲間です。特に近年都市部で問題となっているのが外来種のナミテントウの黒色変異体やクロウリハムシなどでこれらは夜間の室内の明かりに強く誘引される「正の走光性」を持っており窓際をトコトコと歩く姿がゴキブリの幼虫に似ているため不必要な恐怖を煽ります。これらの屋外由来の虫たちとゴキブリの決定的な違いは「目的」にありゴキブリは人間の家を住処として繁殖しようと侵入してきますが庭から来る小虫たちのほとんどは光に迷い込んだだけであり室内の乾燥した環境では数日も生きられずそのまま干からびて死んでしまう運命にあります。したがってこれらを見つけた際に行うべき正しいアクションは家中を毒餌だらけにすることではなく侵入経路となっている網戸の緩みや窓のサッシの隙間を隙間テープで埋めるという物理的な防衛ラインの強化にあります。またカーテンを遮光性の高いものに変えて夜間に光が外に漏れないようにすることや玄関灯を虫が寄りにくいLED照明に交換することも飛来数を劇的に減らすための工学的な解決策となります。もし室内で見つけた場合は掃除機で吸い取るかティッシュで優しく包んで外へ逃がしてあげるだけで十分であり彼らを敵視して神経を摩痺させるのはもったいないことです。自然豊かな環境にある家ほどこうした小さな訪問者は絶えませんが「家の中で繁殖するもの」と「外から迷い込んだもの」を冷静に識別する眼を持つことが不必要なパニックを避け穏やかな暮らしを維持するためのリテラシーとなります。黒くて丸いその姿をただ不気味がるのではなくどこから来て何を求めているのかを観察することで住まいと自然との適切な境界線が見えてくるはずです。
庭から迷い込む黒くて丸い小虫の防除と識別