アシナガバチの毒によるアナフィラキシーショックは、命に関わる、非常に恐ろしいアレルギー反応です。特に、過去に一度でも蜂に刺された経験がある人は、体内に抗体が作られている可能性があり、次に刺された時に、アナフィラキシーを発症するリスクが高まります。では、自分が蜂毒に対してアレルギーを持っているかどうかを、事前に知ることはできないのでしょうか。そのために行われるのが、「ハチ毒特異的IgE抗体検査」という、アレルギー検査です。この検査は、血液検査によって、血液中に、特定のアレルゲン(この場合は、蜂の毒)に反応する「IgE抗体」が、どのくらい存在するかを調べるものです。採血は、一般の病院やクリニックで行うことができ、特別な準備は必要ありません。検査では、アシナガバチ、スズメバチ、ミツバチといった、主要な蜂の種類ごとに、抗体の量を測定することができます。検査結果は、クラス0(陰性)からクラス6(陽性)までの7段階で示され、クラスの数字が大きいほど、体内の抗体量が多く、アレルギー反応を起こす可能性が高い、と判断されます。この検査を受けることで、自分がどの種類の蜂に対して、アレルギーを持っているのか、そして、そのリスクがどの程度のレベルなのかを、客観的な数値として把握することができます。もし、検査結果が陽性で、特に高い数値を示した場合は、アナフィラキシーショックへの備えが、より一層重要になります。医師と相談の上、緊急時に自己注射するためのアドレナリン自己注射薬「エピペン」を処方してもらい、常に携帯するという選択肢も考えられます。また、林業や、造園業、あるいは、電気工事など、仕事柄、蜂に遭遇する機会が多い職業の方は、定期的にこの検査を受け、自らのリスクを管理することが、安全に仕事 を続ける上で、非常に重要となります。自分の体質を知ることは、蜂の毒という、見えざる脅威から身を守るための、最も基本的な、そして最も効果的な自己防衛策なのです。