家の中で蜘蛛に遭遇した時、多くの人が抱く潜在的な恐怖の一つが「この蜘蛛には毒があるのではないか」というものです。日本国内の家屋で遭遇する蜘蛛のほとんどは、人間にとって無害な種類ですが、ごく稀に、健康に被害を及ぼす可能性のある、危険な毒蜘蛛が侵入してくるケースも存在します。ここでは、一般的な家の蜘蛛と、特に注意すべき毒蜘蛛との見分け方を解説します。まず、日本で最も警戒が必要な毒蜘蛛が、特定外来生物である「セアカゴケグモ」です。この蜘蛛の最大の特徴は、メスの腹部にある、鮮やかな赤色の砂時計のような模様です。体は光沢のある黒色で、丸々としています。彼らは、軒下やベランダ、植木鉢の下、エアコンの室外機の裏など、屋外の人工的な構造物の隙間に、不規則な形の巣を作ります。家の中で見かけることは稀ですが、ベランダなどでこの特徴的な蜘蛛を見つけた場合は、絶対に素手で触らず、自治体に連絡して指示を仰いでください。次に、在来種でありながら強い毒を持つのが「カバキコマチグモ」です。体長は一センチから一.五センチほどで、全体的に半透明感のある黄緑色や麦わら色をしています。彼らは、ススキなどのイネ科の植物の葉を巻いて巣を作るため、主に屋外で遭遇しますが、洗濯物などに付着して家の中に持ち込まれる可能性があります。一方、家の中でよく見かける「アシダカグモ」は、巨大で褐色、まだら模様があり、平べったい体型をしています。「ハエトリグモ」は、小さくて目が大きく、ピョンピョンと跳ねます。「イエユウレイグモ」は、非常に細長い脚を持ち、体を揺らす習性があります。これらの一般的な家の蜘蛛は、セアカゴケグモのような派手な警告色を持っていません。もし、あなたが見つけた蜘蛛が、鮮やかな赤や黄色の模様を持つ、見慣れない派手な姿をしていた場合は、毒を持つ可能性があると考え、むやみに近づいたり、触ったりしないことが賢明です。不安な場合は、スマートフォンのカメラで撮影し、インターネットの画像検索などを利用して、種類を特定するのも一つの方法です。正しい知識を持つことが、無用な恐怖と、万が一の危険から、あなた自身を守ることに繋がるのです。
危険な毒蜘蛛と家の蜘蛛の見分け方