夏、特に梅-雨の時期になると、部屋の壁や本棚、窓際などで、まるで白いホコリか粉が動いているように見える、体長一ミリほどの非常に小さな虫に気づくことはありませんか。その正体は、おそらく「コナチャタテ」という種類の昆虫です。その小ささと、一見すると無機質なホコリのように見えることから、気づかないうちに家の中で大発生していることも少なくありません。この不快な同居人を撃退するためには、まず彼らがなぜ発生するのか、その原因を正しく理解する必要があります。コナチャタテは、高温多湿な環境を好み、その主食は、私たちの目には見えないような微細な「カビ」や、食品の粉、本の製本に使われる糊などです。つまり、彼らが部屋にいるということは、その部屋の湿度が非常に高く、カビが繁殖しやすい環境になっているという、明確なサインなのです。特に、夏場の日本の住宅は、気密性が高く、湿気がこもりやすいため、コナチャタテにとってはまさに楽園のような環境となります。新築やリフォーム直後の家で発生しやすいのも、壁紙の糊や建材がまだ完全に乾ききっていないためです。駆除方法としては、まず目の前の個体に対しては、市販の殺虫スプレーも有効ですが、より安全で効果的なのが「消毒用アルコール(エタノール)」です。アルコールは、コナチャタテのような体の小さい虫に対して高い殺虫効果を発揮し、同時に、彼らの餌となるカビを除菌・殺菌する効果もあるため、一石二鳥です。壁や床にいるのを見つけたら、直接スプレーするだけで駆除できます。ただし、最も重要なのは、駆除よりも「予防」です。コナチャタテを根絶するためには、彼らが住めない環境、つまり「乾燥した環境」を作ることが不可欠です。天気の良い日には積極的に窓を開けて換気を行い、部屋の風通しを良くしましょう。エアコンのドライ機能や除湿機をフル活用し、室内の湿度を常に六十パーセント以下に保つことを目指します。特に、湿気がこもりやすい押し入れやクローゼット、シンクの下などには、置き型の除湿剤を設置するのが効果的です。また、冬場に発生しやすい窓の結露も、カビの温床となるため、こまめに拭き取る習慣をつけましょう。コナチャタテの発生は、あなたの家の健康状態を示すバロメーターです。
部屋にいる白いホコリみたいな虫の撃退法